産業安全の基礎
安全は選択ではなく義務です
学ぶこと
- 労働安全衛生法の基本内容を理解する
- 個人保護具(PPE)を正しく着用する
- 危険な状況への対処法を学ぶ
産業安全衛生法概要
労働者の権利と義務、事業者の安全配慮義務、労働災害の届け出手順、安全衛生教育の受講要件について学びます。
なぜ労働安全衛生法を知っておくべきですか?
製造現場で働くすべての人は労働安全衛生法(労安法)の保護を受けます。この法律は1981年に制定されて以来、数十回の改正を経て、韓国の産業現場の事故を減らしてきました。新入社員でも、入社した最初の週内に必ず知っておくべき重要な4つのポイントを紹介します。
1. 労働者の4つの権利
- 知る権利:使用している化学物質、危険な機械、事故の統計を知る権利。会社はMSDS(物質安全データシート)と作業環境測定結果を掲示しなければなりません。
- 参加の権利:労働安全衛生委員会・労使協議会を通じて意見を述べる権利。50人以上の事業場は1四半期に1回の義務開催があります。
- 拒否の権利:緊急な危険があるとき、作業を拒否する権利。拒否してもいかなる不利も受けません(労安法第52条)。
- 健康診断の権利:一般健康診断(年1回)と特殊健康診断(騒音・粉塵・有機溶剤の暴露時、6か月〜1年1回)を会社の費用で受ける権利。
2. 労働者の義務
権利だけではありません。労働者にも次の義務があります:
- 安全衛生教育の受講(入社時8時間、毎月定期教育2時間)
- 保護具(PPE)の着用
- 危険作業時における作業手順の遵守
- 事故・アチャサゴが発生した場合、すぐに報告すること
3. 事業者の安全配慮義務
会社は単に賃金を支払うだけでなく、安全な作業環境を提供する義務があります(民法第655条+労安法第5条)。これを違反して事故が起これば:
- 労働災害補償保険により、労働者の治療費・休業給与が支払われる
- 事業主は刑事処罰(重大災害処罰法施行後、死亡事故の場合は1年以上の禁錮)
- 安全管理費を別途設定(工事費の1.5〜2.5%)
4. 労働災害が発生したときの報告手順
[事故発生]
↓
直ちに119+社内安全管理者
↓
3日以上休業→会社が1か月以内に労働災害調査表を提出(雇用労働部)
↓
死亡・重大災害→直ちに(24時間以内)管轄労働地庁への報告義務
↓
労働者福祉公社への労働災害申請(労働者が直接可能)重大災害の定義(労安法施行令第3条):
- 死亡者1名以上
- 3か月以上療養が必要な負傷者2名以上
- 同時に職業病患者10名以上
5. 新入社員の最初の週のチェックリスト
- 入社時の安全衛生教育8時間受講(受講証を保管)
- 作業場の非常出口・消火器・AEDの位置を確認
- 担当安全管理者の名前・連絡先をメモ
- 保護具のサイズを測定し、支給を受ける
- 社内労働災害報告書の位置を確認
個人保護具(PPE)の種類と着用方法
安全帽、安全靴、安全眼鏡、耳栓、防塵マスク、安全手袋などの保護具の正しい着用方法と点検方法を学びます。
PPE は最後の防衛線です
作業環境自体を安全にすることが最も良いですが(工学的対策)、それでも残るリスクは個人保護具(Personal Protective Equipment, PPE)が防ぎます。保護具は「ある」ではなく、「正しく着用している」ことが重要です。
6つの基本PPE
1. 安全帽(Hard Hat)
- いつ: 頭の上から落下する危険があるすべての作業場(造船所・建設現場・倉庫・工場入庫場)
- 着用点検:
- 耳の部分が前を向くように(後ろにかぶらない) - 頬ひも調整 — 2本の指が入る程度 - ヘルメット内のhammockの紐調整
- 寿命: 製造日から3年(衝撃後は即座に廃棄、ひび割れ・変色・へこみがあっても廃棄)
2. 安全靴(Safety Shoes)
- 種類:
- S1: 一般作業(静電気・滑り防止) - S3: 鉄くさ防止+足首保護 - S5: 絶縁(電気作業)
- 点検: 足先強化材(鋼製キャップ)の変形がないか、底の摩耗状況、ひもが緩んでいないか
3. 安全眼鏡(Safety Glasses)/フェースシールド(Face Shield)
- 使用区分:
- 安全眼鏡: 飛散物・塵保護(加工・研磨) - フェースシールド: 強い衝撃・化学物質・熱(溶接・グラインディング・化学工程)
- 注意: 一般的な眼鏡はPPEではありません!眼鏡の上にオーバーグラスを着用するか、処方用の安全眼鏡を別途購入する
4. 音防護具(Hearing Protection)/耳栓/耳かぶせ
- 着用基準: 音量85dB以上の作業場(長時間の暴露で聴力損失)
- 選択:
- 耳栓(フォーム・シリコン): 軽く安価、NRR 25~33dB - 耳かぶせ(ヘッドホン型): 脱着が簡単、NRR 22~30dB - 高音量(110dB以上): 耳栓+耳かぶせを二重に着用
5. 防塵マスク/防毒マスク(Respiratory Protection)
| 種類 | 用途 | 等級 |
|---|---|---|
| 防塵1級(KF80) | 一般粉塵 | 80%遮断 |
| 防塵2級(KF94) | 微粉塵・溶接煙 | 94%遮断 |
| 防塵特級(KF99) | 石綿・重金属 | 99%遮断 |
| 防毒(浄化筒) | 有機溶剤・酸性ガス | ガスごとに浄化筒の色が異なる |
重要: 脅毛があるとマスクが密着しない→剃毛後着用
6. 安全手袋(Safety Gloves)
- 素材別の用途:
- 綿手袋: 軽い作業、回転機械では絶対に使用禁止(巻き込まれる危険) - 皮革手袋: 溶接・熱・鋭い素材 - ニトリル/ラテックス: 化学物質・液体 - 絶縁手袋: 電気作業(等級別 1000V~36000V)
着用順序 ABC
A — Apparel(作業服)をまず
B — Boots(安全靴)を次に
C — Crown(安全帽)を最後に
+ 作業ごとの追加PPE1日の点検表(作業開始前1分)
- 安全帽: ひび割れ・変色・へこみがない
- 安全靴: ひもが緩んでいない・底の摩耗を点検
- 保護具: 有効期限・汚れ具合を確認
- サイズ: 過大または過小ではない
よくあるミス
❌ かゆいから安全帽を外して作業→頭への衝撃で死亡事故 ❌ 安全靴のひもを緩めて履く(楽)→底が外れ、足が絡まる ❌ 使い捨てマスクを1か月使用→遮断性能は1週間で90%減少 ❌ 回転機械作業時に綿手袋→指が引き込まれる(実際の労働災害死亡原因上位)
危険予知訓練(KYT)
作業前の危険要因を事前に発見し、対策を講じるための4ラウンドKYT(Kiken Yochi Training)技法を実習します。
KYTとは何ですか?
KYT(危険予知トレーニング, Kiken Yochi Training)とは、「危険予知訓練」のことです。日本で始まった事故予防技法で、作業開始前5〜10分間、チームメイトと一緒に危険を発見し、対策を決定する活動です。
韓国では、TBM-KY(Tool Box Meeting + KY)という名前で、多くの企業が毎朝の作業確認時に実施しています。
KYT 4ラウンド(最も標準的な形式)
1ラウンド:事実把握 — 「どのような状況ですか?」
作業の写真や図面を見て、客観的事実のみを列挙します。推測や評価は禁止です。
例(造船所の溶接作業現場の写真):
- 作業者が狭い曲ブロック内で溶接中
- 酸素濃度測定器が入口側にある
- 溶接面が着用されていない、安全帽の紐が後ろを向いている
- 床にホースが2本ある
- 火気作業許可書が掲示されていない
2ラウンド:本質追求 — 「危険要因は何ですか?」
1ラウンドの事実から潜在的な危険を抽出します。「〜する可能性がある」の形式で。
- 酸素不足 → 窒息事故
- 溶接面がない → 強い光で角膜やけど
- ホース → 足を踏んで転倒
- 火気許可書がない → 手続き違反+火災リスク
3ラウンド:対策立案 — 「どのように防ぎますか?」
各危険に対して具体的な対策を決定します。実行可能なものを選ぶ。
| 危険 | 対策 | 責任者 |
|---|---|---|
| 酸素不足 | 作業開始前に酸素濃度19.5%↑を確認、入口に換気ファンを設置 | 作業者本人 |
| 光線やけど | 溶接面を即座に着用、遮光度#10以上 | 作業者本人 |
| ホースの妨害 | ホースを整理・固定、通路を確保 | 班長 |
| 火気許可 | 作業前に許可書を発行+作業場に掲示 | 安全管理者 |
4ラウンド:目標設定 — 「今日の私たちの行動目標は?」
チームが一緒に叫ぶ1行のスローガンを作ります。短く具体的に。
> 「狭い場所に入る前に酸素を測定 — 一つ、二つ、三つ!」 ← チーム全員が大声で
なぜスローガンを叫ぶのか?
脳科学的には、声に出して言った情報の記憶率は読むより35%高い(Hopper, 1976)。作業中に危険な状況に直面したときにスローガンが頭に浮かびます。
TBM-KY実施フロー(毎朝5分)
08:55 作業確認開始
↓
班長が今日の作業内容を共有(1分)
↓
KYT 4ラウンド(3分)
↓
役割分担+スローガンの唱和(1分)
↓
09:00 作業投入新入社員がKYTでうまくやる方法
- 視覚的によく見慣れた場所を再び疑う — 親しみすぎると危険に気づけない
- 「これは危険かな?」という質問を優先する — 沉黙より質問が命を救う
- 先輩の経験談を聞く — 過去の事故・アチャサゴの事例
- チェックリストを作る — 自分の作業場の危険5つを書き出し、毎日確認する
釜山・蔚山・慶南地域の業界別KYTの主要リスクTOP3
- 造船・海洋:密閉空間の酸素不足/転落/火気作業の爆発
- 自動車部品:回転機械の挟まれ/プレスでの両手使用の欠如/運搬中の足の踏み場
- 建設・土木:転落/落下物/感電
- 化学・素材:化学物質の漏洩/静電気の爆発/呼吸保護具の未着用
各業界の詳細なKYTモジュールは、該当カテゴリで別途学習します。
緊急処置の基礎
火傷、切断、感電、狭間事故発生時の初期対処法とAEDの使用方法を学びます。
緊急処置のゴールデン4分
心停止や重傷の出血事故では、最初の4分が生死を分けるという言葉があります。119が到着するまでの間に同僚がどのように対応するかが結果を変えるのです。新人でもこの4つの事故は必ず知っておきましょう。
1. 火傷(Burn)
分類
| 種類 | 深さ | 症状 | 対処 |
|---|---|---|---|
| 1度 | 表皮 | 赤く、かゆみ | 冷たい水で15〜20分 |
| 2度 | 真皮 | 水ぶくれ・強い痛み | 水ぶくれを破らないでタオルで覆い、すぐに病院へ |
| 3度 | 皮下組織 | 感覚がない・黒くなる | 衣類は剥がさず、119へ |
即時対処
- 冷たい流水で15〜20分(氷を直接使用不可 — 冷傷のリスクあり)
- 時計・指輪・金属を除去(腫れが起こる前に)
- 衣類が皮膚に付着している場合は剥がさない — そのままで病院へ
- 化学火傷(酸・アルカリ)は大量の水で20分以上洗い流す
2. 切傷(Cut, Laceration)
出血量による対処
- 少量出血(滲出程度):清潔なタオルで5分間圧迫し、消毒後、バンドエイドを貼る
- 中等度出血(滴り落ちる程度):圧迫+患部を心臓より高い位置に、10分後も止まらない場合は119
- 大量出血(水のよう):動脈損傷の可能性あり。直接圧迫+119、圧迫帯(トーニクエット)は最終手段
切断事故(指・足の指)
- 切断部位の出血を圧迫
- 切断部分を清潔な布→ビニール→氷水に浮かべる(氷に直接触れないように)
- 6時間以内に縫合可能(時間は命)
3. 電撃(Electric Shock)
絶対原則:まず電源を切る
⚠️ 電撃を受けた人を裸手で触ると一緒に感電します。以下の順序で対応:
- ブレーカー・コンセントをまず切る
- 切断不可能な場合は乾燥した木の棒・プラスチックで患者から電源を分離
- 患者の意識・呼吸を確認
- 呼吸がない場合はCPR(心肺蘇生術)+119
CPR 30:2
胸骨圧迫30回(分速100〜120回、深さ5〜6cm)
↓
人工呼吸2回
↓
繰り返す(救急車到着まで)4. 窒息/挟まれ事故
回転機械・プレスに手・服が挟まれた場合:
- すぐに機械を停止(Emergency Stop) — すべての機械には赤い非常停止ボタンがある
- 挟まれた部位を無理に引き抜かない — より大きな損傷のリスクあり
- 可能であれば機械を逆回転させて引き抜く(係長・整備担当を呼び出す)
- 119+医療スタッフが到着するまで体温を保ち、患者の意識を保つ
AED(自動体外除細動器)の使い方
釜山・慶州の大部分の工業団地・公共施設にはAEDが設置されています。使用は誰でも可能で、法的責任が免除されます。
4ステップ
- 電源ON — 音声ガイドが開始
- パッドを貼る — 右の鎖骨の下+左の肋骨の側(図で表示)
- 分析中は待機 — 「患者から離れてください」の案内。患者に接触しない
- ショックボタン — 案内時に赤いボタンを押す。ショック後すぐにCPRを再開
⚠️ 水分・金属・薬用パッチの上にパッドを貼らない — 火傷・電気分散のリスクあり
緊急処置後必ず行うこと
- 事故の時間・状況をメモ(病院診断・労災申請時に必要)
- 安全管理者に即座に報告
- 作業場の写真を撮影(現場の保存)
- 労災申請ガイド(モジュール1:労働安全衛生法概要を参照)
会社内で事前に準備すること
- 緊急連絡網(安全管理者・119・近隣の救急室)を作業場に掲示
- 緊急処置箱の位置+内容物を点検(月1回)
- AEDの位置を全社員が把握
- 会社内での緊急処置教育を受講(KOSHA無料教育可能)
現場で試すこと
- 保護具着用セルフチェックリスト
- KYT(キーセン)4ラウンド模擬訓練
- AEDの使用シミュレーション